2020年11月05日

月の雫

 日を追うごとに寒さが身に染みて、身体を温めてくれるものが恋しくなる季節となりました。秋深しというところでしょうか。

 

 私が所属している製造部では、只今、月の雫が毎日、製造されています。山梨のブランド品種でもあり、白ワインの原料にもなる甲州ぶどうを使用して一粒一粒、選別をしてから始まります。

 

 名前の通り、白くて丸い雫を連想するお菓子ですが、これは甲州ぶどうを一つ一つ人の手でフォンダン掛けをして作られていていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フォンダンとは和菓子では「すりみつ」と呼ばれ、砂糖と水を煮詰めて冷やし、白いクリーム状になるまでかき混ぜたもののことを言います。

 江戸時代後期に甲府にあった和菓子屋「満寿太」で糖蜜が入った銅鍋の中に偶然ぶどう一粒が落ちたことによって「月の雫」ができたと言われています。この「満寿太」は先の大戦まで大変繁盛しており、弊社桔梗屋の初代中丸熊太郎が明治22年に独立するまで、菓子作りの修行をしていたお店でした。

 

 容器に詰める時は砂糖が溶けているか、また割れていないかを確認するのですが、分かりづらい時もあるので細心の注意を払うようにしています。

 この商品に関わるようになって2ヶ月が経ち、少しずつ「月の雫」に愛着が湧くようになってきました。季節限定のこの商品は、葡萄の収穫が終わるまでとなります。

 できる限り多くのお客様のお手に取っていただけるようこれからも丁寧に仕上げていきたいと思っています。

 

 

本社工場 製造部 平井杏奈